スーパーのそとでじてんしゃが倒れていた
つめたい風が吹いていて
道ゆくひとたちが
ちくちくする皮膚に耐えている
わたしも
早足で帰路につく
マフラーに顔をうめて
どうでもいいことを きり捨てて
かなしいと笑っている
わたしが生きているという
世界にとってあまりにどうでもいいことが
わたしにとって
とてつもなく重大であると思えてしまうことの切れ目
陸地から
とおくはなれた海のまんなかで
ばたばた とあわただしく
溺れているわたしを
ひとりぼっちにして、
くるしいと笑っている
やがて、疲れはてて
許されたような気になって
校庭にちらばった宝石を ふみにじりたくなる
あともどりできなさへの渇望を
どうにか穴に うめている
夜に
空腹感が、腹立たしかった