ビルの敷地を清掃しているおじさんがたぶん通りすがりのおばさんに怒鳴られている。雰囲気から察するに、おそらく言いがかりであるように思われるが、雰囲気だなんて勝手な絵空事を難癖のように当て込んでは一蹴する通行人の言うことなんか微塵も信じるべきでない。書いたことを悔いろ。読まれることの恥を知れ。あらゆる人間に批判的に対峙し、その最たる対象にみずからを置け。たとえ指を失っても書くことを止めない覚悟がないのなら食って寝て老いるだけの生活に身を慎んだほうがいい。頭痛にでも苦しんでいれば幸福だろう。また今日も文を書く真似事ですか、はやくやめたほうがいいですよ、くだらないから。小綺麗に切り貼りした貧しい人生の愚劣な描写を実存を支柱に屹立させようという卑しい魂胆は早急に唾棄する以外に取り扱いようがない。でなければ、日記の残酷さに拮抗する身体状態をかろうじてでも維持してみせたらどうだ。
日記210617
カテゴリー: 日記