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日記210411

 昨晩に深夜まで通話をしていたこともあり、十時頃になってようやく目を覚ます。それでも調子の悪い時期にはいつも昼過ぎまで眠りつづけることしかできなかったから、夜更かしをしても午前中に目を覚ませるくらいにはいまは状態が落ち着いているのだろうなと思う。眠気を抱え、ベッドのうえで横になったまま昨日の日記を書く。
 十五時頃に本を持ってカフェにでも行こうかと思ったが、昼に辛ラーメンを食べたせいか胃腸がやけに動くから、いったん横になって躰を落ち着ける。窓辺から差し込む陽の光が心地よく、四〇分ほど眠る。この頃は昼寝をしても、そのまま夜まで眠ってしまうということがなくなった。その時々の睡眠との付き合い方には心身状態がわかりやすく現れるような気がする。十六時頃に家を出て、府中駅前のドトールでブコウスキー『街でいちばんの美女』を読む。正面の席にいた二人組がこちらに聞こえる程度の声量で会話をしていて、時折注意を奪われる。

──友情の上位互換が恋愛ではないと思ってるんだよね。
──仲良くなりすぎると恋愛対象にはならないなあ。
──そもそも男と女って単純に分けるのが変だよね。
──女ってだけで異性としか見られないときは怖いね。
──よく街中で女の肩に手を回して歩いてる男いるじゃん?
──あれキショいよね(笑)
──歩きにくいって(笑)
──ああいう型にすっぽりはまれるひとから幸せになっていくんだろうね。

 どうやら外大生らしく(府中には東京外国語大学がある)、恋愛、ジェンダー、婚姻制度、就活、小説、映画、大学内コミュニティ……とシームレスに話題を乗り換えながら話が続いていてたのしそうだった。会話の内容から察するに、きっと優秀なひとたちなのだろう。
 周囲の音に気を取られて集中を欠きながら読書をしていると、ぽんてさんから焼き肉に行こうと誘いのメッセージが届いて、行くと返事をした。待ち合わせにちょうどいい時間までカフェで過ごして、頃合いを見て電車に乗ったタイミングで、財布を持ってきていないことに気づく。だいたいの会計がiPhoneによる電子決済で済むからといって財布を持ち歩かない癖がつくと、こうして急な誘いが入ったときに都合が悪くなるなと思った。以前も同様の失態をして、同じことを思った覚えがある。指定された店に着いて、さっそく財布がないことを謝る。焼き肉店にくるのはひさしぶりかもしれない、と思いながら肉を焼き、酒を飲んだ。Sさんが先日三島由紀夫を読みましたと言っていて、その話を広げる手前で、遅れてきた出口さんが合流する。到着したばかりの出口さんから、たこ焼きを焼くのに飽きて肉を焼くようになったんですか? と笑われる。肉やハイボールがおいしい。近いうちの日本酒を嗜む会を約束して、解散する。
 帰路につきながら、ひとと飲食をともにするとたのしいなと思った。そういう油断がよくないのだ、自粛をしろ、と言われかねないこの頃だが、コミュニケーションに対する欲望はそう簡単に否定したり抑圧したりできるものなのだろうか。散々食べたにもかかわらず小腹の空きを感じて、セブンイレブンで四個入りのドーナツを買った。焼肉店で悪ふざけで行った自撮りツイートにやたらといいねが付き、微妙な気持ちになる。

カテゴリー: 日記