前略、貴樹くんへ。
わたしはさいきんすごく疲れています。勤務先ではこき使われるし、職場のひとたちも他人の噂話や悪口ばかりでうんざりするし、こころもからだもへとへとです。わたしは契約社員なので、3月までの辛抱だとは思いながらも、雇用主から見れば期限があるからこそそれまでに使い潰そうという考えなのかもしれないし、仮に3月まで耐え忍んだとしてもその後の生活の保障はいっさいありません。それにどうせいまの勤め先を離れても、またべつのところで働く必要がありますから、結局そこでもおなじような思いをするような気がします。
きょうは勤務がなかったのですが、疲れがひどくて朝から動けず、ほぼ一日中を寝て過ごしました。それでも横になりながらちょっとだけでも本を読む時間をとれました。その本のなかに「偉大なる精神は思想を語り合い、平均的な人は出来事について語り合い、小者たちは他人のうわさをする」というエレノア・ルーズベルト(アメリカの元大統領フランクリン・ルーズベルトの妻です)の発言が引用されていました。思想を語り合うひとたちが必ずしも偉大かはわかりませんが、思想を語ることを好むひとと、出来事について語ることを好むひとと、他人のうわさをすることを好むひととの比率は前者から順に多いのだということの比喩だと考えると、根拠こそありませんがどこか納得がいくところがあると思います。そのような傾向が現実にあるのであれば、あるいはそのような傾向は体感として感じるところでもありますから、いくら所属先を変えようと組織の構成員が他人のうわさに興じてばかりということはどこもあまり変わらないのかもしれません。だとすれば、わたしの抵抗もあまり意味も意義もありませんね。ほんとうに抵抗したいのであれば、くじ引きをやりなおすように転々とするのではなく、一か所に身を投じてもがき苦しみながらも闘っていかなければいけないのかもしれません。でもそこまでの気力や知力や体力がわたしにあるとはとうてい思えないのです。
いきなり暗い話を書いてしまいました。貴樹くんの近況はどうですか? 貴樹くんもわたしに似て、どちらかといえば内向的な人柄だと思いますから、おなじような苦悩を抱えているのではないでしょうか。こんなとき、どう思いますか? よかったら貴樹くんの体験とかアドバイスとか聞かせてください。
それはそれとして、近ごろの疲れの原因はからだの弱さにも原因があると考えています。わたしにはまともに直立したり背筋を伸ばして着座したりするほどの筋力もありません。からだは見るからに骨と皮という印象で、どうしたら脂肪や筋肉がつくのか皆目見当もつきません。たまに筋トレをしてみることもあるのですが、つらいしつまらないしで長続きする気配もありません。そんなとき、貴樹くんといっしょにバドミントンでもできたら続けられそうなのに!といつも考えてしまいます(笑)。近くにいたらいっしょにできることがたくさんあると思うとざんねんな気もしますが、だけど遠くにいなければこうして手紙を書くこともなかったのだろうと思うと、いまは手紙を書いたり読んだりする時間を大切にしようという思いも出てきます。
まだまだ寒い日がつづきそうです。会えない貴樹くんが、どうか元気でいますように。
日記220113
カテゴリー: 日記