帰宅直後から左脚がかゆい。足首からすねにかけて4箇所ほど蚊に刺されたようで、とくに足首のそれはかなり腫れている。どこで刺されたのかはわからないが、靴下と靴を履いて街中をとことこ歩いている状況で刺されることもそうはないだろうし、帰宅してから刺されたのだろう。とすると自宅内にはいまなお蚊が潜んでいることになるが、それらしい姿が見当たらない。椅子にもたれて干からびたからだをだらけていると、蚊に刺された左脚どころか蚊に刺されてもいない右脚や右腕や左胸や首まわりや背中などなどにもかゆみがあらわれてくる。爪を立ててからだじゅうをかきむしりたいおもいをこらえ、かゆみに生じる部分に肌着をすりすりする。こちらをすりすりしているとつぎはあちらがかゆくなり、あちらをすりすりしているとついさっきすりすりしたばかりのこちらがまたかゆくなる。肌には赤いぽつぽつが出ている。むかしからからだじゅうの肌にたびたび赤いぽつぽつが出る。夏場は特に出るから汗か何かが原因なのかもしれないが、べつに冬でも出るときは出る。そのくせ背中はおおきな白斑が出る。ここしばらく赤いぽつぽつもおおきな白斑もあまり目立ってあらわれないな、シャワー後にからだに塗るクリームをキュレルに変えたのがよかったのかなとかおもっていたが、あれやこれやで抑えこんだところでなにかの拍子に異常は噴出するらしい。あるいは赤いぽつぽつがあるほうが正常であって、無理に抑えこむのもよくないのかもしれない。何にとってよくないのかはしらないが、肌にも赤くなりたいときくらいある。かゆいからさっさと寝る。今週は朝いつもの時間に起きられていない。慢性的な睡眠不足が深刻な睡眠不足を呼び寄せている。眠りの質を高めるために軽く運動をして、そのせいでひどくつかれて日中の眠気が増し、ぐったりしたからだでぐったりと寝て、ぐったりしたまま朝を迎えたりする。休みをとろうかと数分迷ったあとに打ち合わせの予定を思い出して仕方なく起床する。夢のなかで金を稼ぎたいが、それより夢のなかの自由が守られているほうが大事だろうから仕方なく目を覚ます。終わらない孤独の夢みたいな日々を過ごし、毎晩数時間だけ浸る眠りのなかで生き生きとする。夢のなかなら肌もかゆくない。