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日記210413

 シラスのゲンロン完全中継チャンネルで三浦瑠麗と東浩紀の対談イベントを見る(というかバックグラウンド再生で音声を聴きながら書いている)。序盤に東氏がコロナ禍における地方自治の状況について「ポピュリズムは知事からはじまる」と指摘をする。そもそも人気商売としての機能が目立つ知事という立場が、国に対して批判的な姿勢を見せるだけで、その地域のひとたちからの支持を容易に獲得できてしまえることを示しているのが、ここ一年の状況だという。実際問題、東京都知事や大阪府知事を主とした各都道府県知事が、みなここぞとばかりにメディアアピールに励んでいる。その結果、ではないが、この一年の間に現実として起こったこととして、県外から引っ越してきた者が入居予定だったマンションの入居を拒否されたり、病院が県外に居た者の受診を拒否したり、と県民性の内面化の強化を象徴するような、県境の内側と外側の分断に由来する動きや事件が見られたことは無視できないだろう。まあただ、上に二つだけ挙げた事例も恣意的ではあるから、切り取りようによってはべつの見方もできるのだとは思う。逆に(逆か?)緊急事態が国威発揚に接続して、国民としての一体感なんかが発生してしまったらそれはそれでおそろしい。
 そういえば、先日、秋田県知事選挙が行われて、佐竹敬久氏の4選が決まったらしい。物心ついた頃には佐竹氏が秋田市長を務めていて、いつからか県知事になっていた。たしか数年前に龍角散のテレビCMにも出演していた。秋田県が豪雨被害に遭った際、佐竹氏は県部長と宮城県にゴルフ旅行へ出かけていて、そのせいで関係機関との緊急会議に間に合わなかったのだが、その理由を虚偽申告したために、CMの放送が中止となった経緯がある。が、調べたところ、どうやら昨年からまた放送されているらしい。全国的に知名度のある商品のCMに知事が出演していること自体をまず問題視してしまうが、やはり「知事は人気商売」とは言い得て妙なのだろうか。ツイート検索などの結果を見るに、このCMはそれなりに受けがよいようだ。調べていたら「佐竹知事から県民の皆様へのお願い」という動画も出てきて、県民の皆様ではないながらに見てみると、佐竹氏が「県外から家族や親類を呼ばないでください」と訴えていた。昨年の四月に上げられた動画で、どこもかしこも慌てふためいていた時期ではあり、世界各国を見ても都市封鎖が容赦なく行われていたから、特別取り立てるようなことでもなく、この感じはある程度普遍的なのかもしれない。もしくは権力者としてはそう言うしかないのだろう。最終的には、権力側、体制側が発したメッセージを、個々の市民や大衆全体が内面化してしまうことに警戒するしかないように思う。
 この頃なんとなく地元(出身県)愛を無理矢理つくりだして演じでもしたらちょっとおもしろいかなと思っているが、地域への愛の発露として行う言及が知事批判でよいものか。無理矢理感は漂っているかもしれないが。

カテゴリー: 日記